今月の、特に後半の劇場公演は、後藤泉のためにあったと言って過言ではあるまい。
私が目撃した天使のしっぽに始まり、初恋泥棒、おしめしと、
ユニットを一つ、また一つと攻略していき、
その全てで劇場を揺るがすほどに観客を沸かせてみせたいーちゃん。
その気になればここまでのことができるメンバーが、誰からも惜しまれながら卒業してゆく。
我々のような劇場中心のファンにとっては、
決して忘れ得ぬ人として確かな足跡を残した彼女だが、
一方で最後まで「選ばれなかった」彼女の影響力は、
あくまで劇場周辺に留まっていたのも事実だ。
それが、とても、悔しい。こんなに素敵なメンバーを、みんなが知らないまま終わるなんて。
最後の炎を燃やすいーちゃんに呼応するように輝いているのは、
もちろん3匹の芋虫たちである。
初の選抜入りを果たしたりこぴは、東京で選抜メンバーとしての仕事があるはずなのに、
新ポジを覚えてみたりKⅣ公演に助っ人として出てみたり、獅子奮迅の大活躍だ。
明治座千秋楽の翌日に助っ人出演した4月に続き、私の涙腺は壊れっぱなしである。
ぴーちゃんと冨吉もそれぞれこの「後藤泉強化月間」のために新ポジを入れており、
4人合わせると1週間のうちに8ヶ所の新ポジが披露されたことになる。
これは間違いなくグループ全体に誇っていい偉業であると思うが、
この崇高な取り組みが「卒業」によって認められた特別なものであるということが、
やはり悔しいのだ。
例えばだ。例えば今はるたんが卒業を発表したら。
きっとI4Uの面々は気力と体力の限りを尽くして、
同じように劇場に最後の花を咲かせようとするだろう。
梅が卒業するとなったら。
真白やなおぽんはもちろんのこと、
芽瑠も選抜仕事の合間を縫って最大限の努力をしてくれるに違いない。
私が言いたいのは、「いざそうなったら」それだけの活躍ができるメンバーが、
劇場にはたくさんいるのだということだ。
もちろん、普段からこんなに飛ばしていては消耗してしまうだろう。
常にここまでの挑戦を求めるつもりはないのだが、
最後のパジャドラでいーちゃんが語ったように、
今のHKT公演はもうすぐ1年になる最終ベルも含め、相当なロングラン公演である。
繰り返しによる洗練を楽しむという見方ももちろんあるのだが、
観客を飽きさせないためには、
まさに今劇場で起きているような爆発的化学反応が必要なのだ。
それをできるメンバーがせっかく揃っているのに、
誰かが卒業するまで出し渋るというのは、あまりにももったいないことである。
ずっと劇場を主な居場所としているメンバーにも、
定期的に新しいことへの挑戦の機会を設け、
そしてここが重要なのだが、新しい取り組みに対して正当な報酬を出すこと。
そういう仕組みをしっかり作り上げることができれば、
もう少しメンバーの苦悩を緩和することができると思うのだが。
なんだかんだと言ってみたところで、いーちゃんが卒業するのは動かぬ事実だ。
最後の最終ベル助っ人出演で、とうとう蝶々へと羽化を遂げた芋虫だが、
あれはきっと、あくまで一夜限りの夢の出来事。
いーちゃんはこれからHKTで過ごした芋虫の時期を糧に、
美しく羽ばたく蝶々になるために、蛹になるのだ。
そして他の芋虫たちも、これを機にそれぞれ蛹になる準備を始めたように見える。
元々は日陰のメンバー同士で集まった芋虫たちは、
これからも順風満帆というわけにはいくまい。
しかしそれでも、この数週間で見せてくれた鮮やかな光景を、我々ファンは絶対に忘れない。
きっと彼女たちは、どんなところでも色とりどりに輝く、立派な蝶々になるはずだ。
そんな近い将来のことを楽しみに思える土台を作り上げたこと、
もしかしたらそれこそが、いーちゃんの残した一番の財産なのかもしれない。
まだ卒業してもいないのに、湿っぽいことを書いてしまった。
最後の公演は、泣くだろうな。最近はHKTに関することではすぐ泣いてしまう。
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