卒業発表から11日、梅本泉卒業公演に臨んだ私の心は案外冷静だった。
そもそも梅本泉は、ずっとグループに居続けて息長くやっていくタイプのメンバーではない。
何かにつけてファンに対して訴求していかなければいけない48グループにおいて、
全て自分一人で抱え込もうとする梅本泉の性格は、全くもって組織にアンマッチだった。
私は「だからこそ」梅本泉を熱烈に応援していたわけだが、
そんな物好きの愛情をかき集めることが梅本泉にとってどうプラスになるのかと考えると、
この卒業は寂しさという感情こそあれ、盛大に祝うべきことなのだ。
シンガーソングライターという目標、あえて「夢」とは表現しないが、
大きな目標を見つけた梅本泉にとって、HKT48からの卒業はスタートラインである。
あまり涙涙の卒業公演になってしまっては、彼女も気持ちよく去っていけないだろう。
劇場を揺るがすような声援を送って、この上なくハッピーに送り出してやろうじゃないか。
私はそんな気持ちでいた。少なくともアンコール2曲目までは。
しかしどうだ。当の梅さんときたら、自分が主役なのにもかかわらず、
最後の最後まで仲間の負担だのスタッフの手間だの、
そんなことばかり気にしていつも通りの公演の進行でしめやかに終わろうとしていたらしい。
それはそれで、彼女の小さな体躯に不釣り合いな、
大木のように揺るがない信念が如実に表れていて実に「らしい」のだが、
それを許すほど我々ファンの、そして何よりメンバーの梅本泉に対する思いは生温くない。
そしてサプライズで披露された、本人を除く15人の出演メンバーによる「少女たちよ」。
芽瑠の「ミュージック、スタート!」の号令と共に流れ出すイントロ、
呆気にとられて変な動きをしながらバタバタとセンターステージに連れ出される梅さん。
サビに入ると、梅さんを囲んでいたメンバーは後ずさって一列に並び、
センターステージの特等席で立ち尽くす梅さんに15人で歌いかけるという構図に。
客席からは梅さんがどんな表情で見ていたのかは窺い知れなかったが、
みんなの思いを一身に受けたその背中は、不思議と大きく頼もしく見えた。
もちろん私はこれきり声が出なくなってもいいというような気持ちで、
腹に渾身の力を込め、身体の中心から絞り出すように声援を送ったが、
それでも周りの声援が大きすぎて、自分の声が全然聞こえなかった。
ファンの自惚れかもしれないが、この公演でようやく、やっと、いい加減そろそろ、
「梅本泉が一番なのだ」という気持ちを伝えることができたのではないかと、
全部とは言わないまでも半分くらいはわかってもらえたのではないかと思っている。
大木のように揺るがない上に巨岩の如きガチガチの考え方で、
一向に自分の価値を認めてくれなかった梅さんであるが、
我々にとってどれだけ可愛くてかっこよくて熱くてクールで、
心の芯に火を灯してくれる存在だったのかということを、
最後の最後に気付いてくれたのではないかと、そう思っている。
この先梅さんが行き詰まったり、辛かったり苦しかったりしたときに、
ふと思い返して、逆に心の芯に火を灯してもらえるような、そんな卒業公演を、
メンバーとスタッフとファンとが一体になって作り上げることができたのではないかと。
自惚れや自己満足かもしれないが、そんな風に、確かに思っている。
結局、メンバーもファンも、目も当てられないような「涙涙」になってしまった。
私はというと、「涙」の字を十は重ねないと表現不可能なくらい涙を流していた。
涙を流しすぎて涙腺がバカになり、翌日の仕事では普通に号泣しながら車を運転していた。
しかし、気持ちの上では開演前と変わらずに、ハッピーに送り出せたと思う。
18歳。自分が同じ歳だった頃のことを思い出そうとしても、記憶が曖昧だ。
しかし梅本泉さんは、きっと何年、何十年経っても、今日のことを鮮明に思い出せるはずだし、
私もHKT48梅本泉の最後の舞台に立ち会えたことを決して忘れないだろう。
彼女はこれから近い将来、どんな晴れ姿を見せてくれるのか。
どんな歌を引っ提げて、どんな顔で、どんな言葉をかけてくれるのか。
まずはそのための準備を、焦らずゆっくりしてほしい。
彼女の始まったばかりの人生をより豊かなものにするために、
我々ができることは少なかったが、やれることはやったつもりだ。
でも、もちろんこれで終わりではない。
HKT48というのは、梅本泉を見つけるために用意された単なる枠組みに過ぎない。
この3年間を通して出会った我々ファンは、いつまでも梅本泉の味方だ。
きっと素敵な女性に成長していくであろう彼女に対して、
何か手伝えることがあれば、いつでも駆けつける準備はできている。
私にとっては初めて「推しメン」と呼べる存在であった梅本泉さん。
いつか再会するその日まで、どうかお元気で。
一番、大好きでした!!!
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